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節税と「更正の請求」~納めすぎた税金を取り戻す方法

2021年05月30日

節税ブログ その77

●節税と「更正の請求」~納めすぎた税金を取り戻す方法

 

払いすぎた税金を取り戻すための手続き

 

今日は、経理処理や申告の間違いにより結果的に税金を納めすぎてしまった場合の対応についてのお話です。

 

払いすぎた税金を戻してもらうためには、ある書類を税務署に提出することが必要です。

 

その書類を

 

更正の請求書(こうせいのせいきゅうしょ)

 

といいます。

 

しかし、納めすぎた税金は無条件で戻してもらえるわけではありません。

 

更正の請求書を出せるのは、申告書に書いた税額などが

 

①.法律の規定に従っていなかった場合        

②.計算に誤りがあった場合

 

のふたつの要件のどちらかに該当する場合に限られます。

 

■「消耗品費」を必要経費にならないとかん違いした場合

 

たとえば、個人事業者が支払った「消耗品費」で事業上の必要経費になるものを、なぜか、経費にはならないとかん違いして、必要経費にまったく計上しなかった場合はどうでしょうか。

 

所得税法上、事業所得などの計算上必要費用に算入すべき金額は

 

売上原価及び販売費・一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする

 

となっていますから、消耗品費をまったく計上しなかった場合は

 

①の法律の規定に従っていなかった場合

 

に該当して、更正の請求をすることができます。

 

では、消耗品費を計上するには計上したけれど、30万円支払ったものをなぜか3万円とかん違いして、そのまま計上してしまった場合はどうでしょうか。

 

この場合は

 

②の計算に誤りがあった場合

 

に該当しますから、これも払いすぎた税金の還付を請求することができます。

 

軽四輪を普通車と誤って処理してしまった場合

 

では、やはり個人事業主の場合で、自己が所有する事業用車両の減価償却費を計上し忘れていた場合はどうでしょうか。

 

所得税法上の減価償却費は、いわゆる「強制償却」ですから、償却費の計上をすっかり忘れていた場合は、やはり、上記の①に該当して、更正の請求をすることができます。

 

では、車両の法定耐用年数を間違って償却費を計上していた場合はどうでしょうか。

 

車両の法定耐用年数は

 

軽四輪 4年

普通車 6年

 

となっていますが、軽四輪を購入したにもかかわらず、これを普通車とかん違いして6年の耐用年数で償却費を計上してしまった場合は、償却費の過少計上-すなわち、税金をその分多く払いすぎていた―ということになって、これも更正の請求をすることができます。

 

では、同じことを法人でやった場合はどうでしょうか。

 

法人の減価償却のやり直しは認められていない

 

実は、法人の場合、減価償却費については

 

損金経理

 

といって、決算において費用として経理することが要求されています。

 

ただ、要求はされていますが、費用として計上したくなければ、しなくてもいい―つまり、所得税と違って法人の場合は「任意償却」だということです。

 

もちろん、税務上、償却限度額はありますが、それ以下であれば、いくらでもいいわけです。

 

ですから、先ほどの所得税の様に、確定申告で償却費を計上し忘れていたとしても、それは法人が自分の意思として「償却をしなかった」ということになって、後から、償却費を計上します-といっても認めてもらうことができません。

 

また、軽四輪と普通車を間違えたところで、軽四輪の償却限度額までいくら償却費を計上するかは法人の任意ですから、これも後からのやり直しは、同じ様に認めてもらえません。

 

つまり、法人の場合、減価償却については、更正の請求はできない―というわけです。

 

ここら辺が税務のややこしいところであるわけですが、いずれにしろ、税金が納めすぎになっても税務署からそのことを納税者に教えてくれるわけではありません。

 

確定申告で間違って税金を多く納めすぎたと気づいたときは、ぜひ、今日お話しした「更正の請求書」の提出を検討していただきたいと思います。

 

更正の請求について詳しくお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

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