節税と接待交際費~接待の相手先名は必要か?
2020年03月29日節税ブログ その55
●節税と接待交際費~接待の相手先名は必要か?
■交際費等とは
税務上、交際費というのは
「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」
と定義されています。
接待等の相手は、「得意先」「仕入先」だけではなくて、「その他事業に関係ある者等」も含みますから、大変、幅広いわけです。
ですから、今現に、つき合いがある相手だけではなく、これからおつき合いを始めようという人も含むでしょうし、将来ずっとつき合うかどうかはわからないけれど、とりあえず会ってみようかという人だって含まれると考えて良いでしょう。
ただ、いくら幅が広くても、接待等の相手が「事業に関係ある者等」に該当しなければ、交際費にはならないわけですから、そういう意味では、相手がどこの誰なのかは明らかする必要があります。
■接待等の相手先名を明らかにしなければならない根拠
しかし、交際費等を規定した租税特別措置法64条という法律のどこにも、相手がどこの誰なのかを明らかにしなければならないとは書かれていません。
帳簿の記載事項について具体的に言及している法人税施行規則には青色申告に関する規定のところで、接待交際費等の経費について「取引の年月日、支払先、事由及び金額」を記載しなさいとは規定されています。
しかし、「取引の年月日」は当然の事として、「支払先」というのは接待等に使ったお店などの名称です。「事由」は接待、供応などの理由、そして、最後に「金額」を書きなさいとなっていて、やはり、ここでも、その接待等した相手の名称を明らかにしなさいとはなっていません。
では、結局、誰を接待したかは帳簿などに書かなくていいのかというと、残念ながら、そうはなっていません。
法人税の基本通達(※)9-7-20には
「法人が交際費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない」
ということが書かれています。
■費途とは費用の使いみち
「費途が明らかでない」とは「使いみちが明らかでない」ということです。
つまり、どこで、誰を接待したか、あるいは、誰に何を贈ったかを明らかにできない場合は、「費途不明」ということになって、損金算入、つまり、費用計上が認められないことになってしまうというわけです。
ただし、通達は費途を明らかにする方法までは言及していません。
接待の相手先等は一般には元帳の摘要欄に書かれることが多いと思いますが、領収書等の余白に書いておいてもいいし、社長のスケジュール帳に「何月何日、どこそこの誰々を接待した」と書いてあれば、それも「費途を明らか」にしたことになります。
接待した人数が多ければ、「〇〇様他10名」という様な書き方でも良いと思います。
また、贈り物をしたときは、送り先のリストを作っておくことも必要です。
せっかく、高いお金を払っても、税務調査でそれが経費に認められなかったなどということがないように、以上の点は十分に気をつけて下さいね。
(※)基本通達というのは上級行政機関が下級行政機関に対して命令する一形式ですから、本来、法律でも何でもないのですが、現実には「強制力」を持つものと解されています。
接待交際費の処理についてもっと詳しくお聞きになりたいと思われたら
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