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節税と親からの借入金~「贈与」とみなされないために

2021年04月19日

節税ブログ その74

●節税と親からの借入金~「贈与」とみなされないために

 

親からの借入金が「贈与」とみなされたら

 

事業上の必要から、経営者個人が両親などに資金の融通を依頼する―ということは決して珍しいことではありません。

 

しかし、親族からの借入金だけに注意しておかなければならない点もいくつかあります。今日は、そのお話です。

 

当たり前の話ですが、お金は借りたら返さなければいけません。それも、単に借りたお金をそのまま返すのではなく、利息をつけて返す必要があります。

 

では、第三者間では当たり前のこれらのことが、親族間ではどうなのか?

 

先ず、親子間であってもお金を「借りた」場合は返さなければいけないし、返さなければ、それは「借りた」のではなく、「もらった」とみなされて

 

贈与税の対象

 

になってしまいます。500万円「借りた」つもりが「もらった」とみなされた場合は48万円、1,000万円だと約180万円が贈与税として持っていかれます。

 

親族間の借入金を国税庁はどう考えているか

 

国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)の№4420に「親から金銭を借りた場合」という解説があって、そこには次のことが書いてあります。少々、長いですが、非常に大事な内容なので、先ずは全文を読んでみて下さい。

 

「親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。

 

しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。

 

なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます」

 

最初に書いてあるのは、親子など特殊関係者間であっても借入金については「返済能力」や「返済状況」が問われるということです。

 

たとえば、経営者の収入に比して不相応に高額な借入れをすれば「返済能力」を問われるでしょうし、毎月一定額を返済する契約になっているのに、それが守られていなければ「返済状況」を問われて、贈与とみなされてしまう可能性が高まります。

 

また、借入金の元金はちゃんと契約通りに返済していても、利息を取らない場合は贈与とみなすことがありますよ―ということを言っています。

 

しかし、これはあくまで利息部分の話です。元金が契約通りに返済されていれば、仮に、無利息であったとしても、元金部分まで贈与とみなされることはありません。

 

しかも、贈与税には年間110万円という基礎控除額があります。ですから、110万円以下の利息であれば、実質的に贈与税はかかりません。

 

1億円借りても、年利1%であれば利息は100万円です。贈与税がかかるほどの利息というのは、実際にはそれほどはない―と考えてよいでしょう。

 

じっくり調べるが、少額であればあえて課税しない―という考え方

 

また、相続税法基本通達の9-10には無利子の金銭貸与について

 

特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要する

 

と書いてあります。「念査」というのは「じっくり調べますよ」ということです。そして、調べた結果、利益供与があったと認められる場合は贈与税を課しますよ-言っているわけです。

 

ただし、同時に

 

その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。

 

とも書いてあります。「利益を受ける金額が少額」というのは、先ほどの110万円以内のことです。

 

借りたのが個人ではなく法人の場合であっても「受贈益」として、やはり、税金の対象となってしまいます。

 

いずれにしろ、「借りたもの」を「もらったもの」とみなされないためには

 

・契約書を作って、いつ、いくら借りて、返済はいつまでに行うということをしっかりと決めておく

・貸す側、借りる側双方が口座を設けて、借入や返済はその口座を通して契約書で定めた通りに行う

 

ことが必要です。

 

利息を払う側、もらう側の課税関係

 

金利に関しては、これまで説明したように利息が贈与税の基礎控除額を超えない限り、実質的に課税されることはありません。

 

もちろん、借りた側が個人事業者や法人であれば、支払った利息は経費になります。

 

その一方で貸した側は「雑所得」を得たことになりますから、確定申告が必要です。

 

ただし、利息の額や貸した側の他の所得の状況によっては、実質的に課税関係が生じない場合があります

 

①.利息の他に収入がない場合

利息の額自体が所得税の基礎控除額(48万円)以下であれば、実質的に所得税はかかりません。

 

②.給与収入がある場合

給与以外の利息の額が20万円以下であれば確定申告の必要はありません(給与所得に係る年末調整だけで課税関係は完結します)

 

③.公的年金を受け取っている場合

公的年金等の収入金額が400万円以下の場合も、利息の額が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。

 

最後に

 

親から借りたお金を利息とともに返済しても、いずれ相続が発生すれば、他の相続人の状況次第とはいえ、お金は支払った側に戻ってきます

 

このこともぜひ、覚えておいていただきたいと思います。

 

親からの借入金について詳しくお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

にお問い合わせください。

 

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