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節税と5棟10室基準~事業的規模の判断はこうする

2021年01月22日

節税ブログ その68

●節税と5棟10室基準~事業的規模の判断はこうする

 

不動産投資における事業的規模の判断

 

不動産投資は「事業的規模」かそうでないかで税務上、大きく取り扱いが違ってきます。

 

これに対し、不動産以外の一般の事業であれば、「事業的規模」かどうかを問われることはありません。

 

たとえば、従業員を何十人とかかえる飲食店も、事業主がたったひとりでやっている飲食店も、同じ「事業所得」として扱われます。

※ただし、これは個人事業の場合で、法人の場合はそういった違いはありません。

 

さて、その「事業的規模」かどうかの判断は、先ず

 

「社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきである」(所得税基本通達26-9)

 

という実質基準で判断します。しかし、これでは、現実にはなかなか判断がむずかしいということで、次に

 

(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。

 

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

 

という形式基準で判断します。これがいわゆる「5棟10室基準」といわれるものです。

 

貸地や駐車場の場合はどう判断するか

 

また、駐車場や土地の貸付けもやっている場合は次の様に判断します。

 

事例1アパートの部屋数8室 駐車場 車の台数10台

 

駐車場は車5台で1室とみなします。

8室+2室(10台÷5台)=10室≧10室 ∴事業的規模

 

事例2 戸建ての貸家4戸 貸地5ヶ所

 

戸建ての貸家は1戸で2室とみなします。ただし、貸地は5ヶ所で1室相当と判断します

8室(4戸×2室)+1室=9室<10室 ∴事業的規模とみなされない

 

事例3 マンション1棟(18室) ただし夫婦がそれぞれ2分の1ずつを共有

 

この場合は、2分の1の9室ずつの判断とはせず、全体(18室)で判断しますので夫婦ともに事業的規模となります。

 

ただし、これらの事例は何れも形式基準での判断です。

 

過去の裁決例はどう判断したか

 

基本通達は、先ずは、実質基準で判定し、それがむずかしい場合は先ほどの5棟10室基準という形式で判定するとしていますが、実はそれに続けて、

 

または賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合

 

も事業として行われているものとするという書き方になっています。

 

もちろん、通達には賃貸料がいくら以上であれば事業的規模とみなすとか、具体的な管理状況がこうであれば事業的規模とみなすといった事までは書いてありません。

 

過去の裁決例でも、賃料収入が800万円以上、あるいは1千万円超であるにも関わらず事業的規模とは認められなかったケースがいくつもあります。

 

それらのケースに共通しているのは

・貸付先が同族会社など特殊関係者であること

・管理料の根拠が希薄であること

・専従者給与など経費の計上に経済的合理性がないこと

等があげられます。

 

一方で、かなり古い事例ですが、一棟の部屋数が7部屋で賃料収入が

 

・昭和53年 1,727万円

・昭和54年 1,887万円

・昭和55年 2,265万円

 

となっているケースでは、収入全体に占める不動産収入の割合が何れも約9割あり、建物にも相当の設備が施され、かつ、維持管理に必要な業務が継続して行われているという理由で、事業的規模と認められた裁決例もあります。

 

また、これもある裁決例の中で示された事業性があるか否かの判断基準ですが

 

①営利性・有償性の有無

②継続性・反復性の有無

③自己の危険と計算における事業遂行性の有無

④取引に費やした精神的・肉体的労力の程度

⑤人的・物的設備の有無

⑥取引の目的

⑦事業を営む者の経歴・社会的地位・生活状況

 

などを総合的に加味して判断すべきであるとしています。

保有している物件の数が、いまだ5棟10室基準に形式的に満たない場合であっても、上記の基準を検討して、実質的にどうなのか―は一度検討してみる必要があると思います。

 

5棟10室基準について詳しくお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

にお問い合わせください。

 

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