消費税改正~取引先が登録業者にならない時
2022年09月23日消費税改正ブログ その6
●消費税改正~取引先が登録業者にならない時
■取引先が登録業者にならない時の対処法
令和5年10月1日以降、取引先から受け取った請求書が税務署の登録を受けた課税事業者が発行する「適格請求書」でない限り、これを課税仕入れに計上することができなくなります。
課税仕入れに計上できないということは、その分、社長の会社がよけいに消費税を払うことに意味します。
これを避けるためには
イ)今まで免税事業者であった取引先のAに登録事業者の登録を行ってもらう。
ロ)Aとの取引をやめて他の業者との取引に切りかえる。
といういずれかの方法を選ばなければなりません。
イ)の場合、Aはこれまでと違って消費税を納める義務が発生しますから、Aとしては、取引から除外されてしまうというリスクは別にして、できたら登録は避けたいと思うでしょう。
しかし一方で、Aが登録を行わない場合は、今度は社長の会社が消費税をよけいに納めることになりますから、経済的合理性を考えれば、ロ)を選択することになります。
■他の業者への切り替えはむずかしい
しかし、現実には
・外注先とのつきあいが長く、そう簡単に切り替えるわけにはいかない。
・他に適当な業者が見つからない。
といった理由で、ロ)の方法を取ることができない場合が多いのです。
では、どうすれば良いか? どうすべきか?
です。
そういった場合に、従来の取引先に登録業者の登録も依頼せず、また、業者の切り替えもせず、これまで通りの取引関係を継続させる方法があります。
■従来の取引を手数料収入に切りかえたら・・・
それは、社長の会社が従来の仕入と売上の両建ての取引をやめて、手数料収入に切りかえるやり方です。
たとえば、建設業で元請からの仕事を社長の会社が1,000で請けて、これを外注先のAに700でおろした場合で考えてみましょう。利益は300です。
この場合、Aが免税業者で登録業者の登録を行わない場合、社長の会社は700を課税仕入れにすることができません。
そこで従来の取引をAが元請けから直接、仕事を受ける方法へ切り替えます。
そうすると、Aに売上1,000がたちます。その代わり、Aは社長の会社に手数料を300払います。この結果、Aの利益は差し引き700、社長の会社は300の利益だけがたちますから、損益は今までと変わりません。
また、社長の会社は収入の300だけで課税仕入はありませんから、Aが免税事業者であってもかまわないわけです。
ただし、元請からすればAが免税事業者のままでは、元請で課税仕入れが計上できませんから、結局、Aが取引からはずされるリスクをかかえる点は変わりません。
■最終消費者が不特定多数の消費者だった場合
しかし、モノやサービスの最終消費者が不特定多数の個人だった場合はどうでしょうか。
最終消費者からすればAが免税事業者であるかどうかは関係ありませんからAのリスクはなくなります。
もちろん、このやり方はどの業種、業態でも使えるわけではありません。使えるのは
・最終消費者 不特定多数の個人
・社長の会社 従来の契約を最終消費者の紹介を内容する契約に切り替え可能であること
・取引先のA 直接、最終消費者に一定のモノやサービスを提供できること
といったような場合に限られます。具体的にはコンテンツの提供や家電製品などの修理、整体やマッサージなどの施術業があてはまるのではないでしょうか。
いかがでしょうか。社長の会社で果たしてこんな切り替えが可能かどうか・・・。
いずれにしろ、来年10月からの消費税改正は、多くの外注先をかかえる事業者にとっては頭の痛い問題です。どこをどうすれば従来と変わらない取引関係を維持していくことができるか、様々な方法を考えていく必要がありそうです。
あわせて、全従業員を外注先に切りかえた場合もお読み下さい。
消費税改正に伴う外注先などの取扱いについて詳しく聞きたいと思われたら
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