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会社従業員を外注先に切りかえた場合の対処法

2021年09月15日

消費税改正ブログ その3

●会社従業員を外注先に切りかえた場合の対処法

 

従業員から外注先へ切り替えた場合の消費税改正の影響

 

これまで雇用契約に基づく会社と従業員との関係を、請負契約に基づく会社と外注先との関係に代えることがよくあります。

 

目的は

 

・外注先に代えることで会社の社会保険料の負担を免れる

 

・外注先に代えることで会社の支払いを消費税の課税仕入れとして処理する

 

というふたつのメリットがあげられます。

 

今度の消費税の改正で、このやり方がどういう影響を受けるか―というのが今日のお話です。

 

※税務上、雇用関係か請負関係かの区分は、実際上、いくつかの要件により総合的に判断されますが、ここではその要件は全てクリアしているものとして話を進めます。

 

雇用契約に基づく従業員を請負契約に基づく外注先に代えた場合は、毎月、請負先から請求書をもらって、これを消費税の課税仕入れに計上します。

 

ところが、外注先が仕事を請負うようになってから、まだ2年を経過していない場合や、2年を経過していても、請負額が1千万円に達していない場合は、通常、外注先は消費税の免税業者ということになります。

 

これまでは、外注先が免税事業者であっても、そこから受け取った請求書に記載された金額は、会社側は課税仕入れとして処理することができました。

 

しかし、令和5年10月からはこれができなくなってしまうわけです。

 

簡単に外注先を切れない場合はどうするか

 

免税事業者からもらう請求書には、課税事業者であることを証する登録番号がありませんから、請求内容は今までと何ら変わりなくても、消費税の課税処理ができません。

 

当然、外注業者を使う側は、課税仕入れ処理ができない分だけ消費税が増えます。

 

そうすると、その外注先を切って、課税事業者であるあらたな外注先を探すという手も、もちろん、使えますが、もともと、従業員であった者を、こちらから頼んで外注先になってもらった様な場合は、そう簡単に関係を打ち切るというわけにもいきません。

 

残る手としては、外注先に課税事業者になってもらうしかありません。

 

問題は、その場合、課税事業者となった外注先の税負担がどうなるかということです。

 

外注先の手元に残る現金は確実に減少する

 

例として、これまで社員として年間300万円の給与を支払っていたが、その社員を外注先に切り替えて、同じく年間300万円の外注費を支払うこととした場合で考えてみましょう。

※なお、以下の金額は全て概算です。

 

社員の場合、年間給与300万円に対して、社会保険の自己負担部分が45万円、税金は所得税が5万5千円、住民税が11万円で、結局、手取り額は240万円になります。

 

一方、社員ではなく、個人事業者として外注先になってもらった場合、収入は給与と同じ300万として、では、経費になるものが何かあるかというと、これは業種、業態次第ですが、一般に、あまり経費は発生しません。ですから、仮にここでは経費を0とします。

 

また、収入300万円でも、外注費を支払う側としては、支払った外注費を課税仕入れにしなければいけませんから、最初から外注先に消費税の課税業者になってもらいます。そうすると、消費税の負担が27万円(経費0として、売上300万円の10/110で計算)発生します。

 

他にも、国民健康保険、国民年金の負担が74万円、所得税・住民税の負担が13万円発生します。

 

結局、手元に残る現金は185万円にしかなりません。社員の時と比べると53万円の減少です。

 

手許現金の減少幅を減らす方法

 

そこで消費税相当額を外注費に上乗せして支払額を330万円にしたとします。支払う会社側としては、社員を外注先に代えたことで、社会保険料の会社負担分45万円がなくなるわけですから、そういう意味では考えられない話でないですね。

 

この場合、外注先の支払う消費税は30万円(330万円×10/110で計算)となって、手元に残る現金は209万円になります。先ほどに比べて23万円の増です。

 

ところで、消費税の計算方法には、売上にかかる消費税と仕入・経費にかかる消費税の差額で納める原則的な方法と、業種ごとに定められた「みなし仕入率」で計算する「簡便法」という方法があります。

 

そこで、次に消費税の計算に簡便法を使うことにします。

 

仮に、業種が製造業の場合だと「みなし仕入率」は70%です。そうすると、消費税は9万円(330万円×(1-70%)×10/110)まで下がります。この場合、手元には227万円の現金が残ります。

 

社員の時に比べ手取りは11万円ほど減りますが、会社側が消費税相当額を上乗せして、みなし仕入率を使うことで、手許現金の減少幅をかなり“減らす”ことはできました。

 

いずれにしろ、今回の消費税の改正は、特に小規模事業者に劇的な変化をもたらします。

 

法律の施行は令和5年10月からですが、まだ先だからーと安心せず、今から色々と策を考えておく必要はありそうです。

 

消費税の改正について今のうちに詳しく聞いておきたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

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