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節税と預かり敷金~敷金の処理で思わぬ課税問題が

2021年10月17日

節税ブログ その85

●節税と預かり敷金~敷金の処理で思わぬ課税問題が・・・

 

預かり敷金とは

 

賃貸マンションやアパートにはつきものの「預かり敷金」が今日のテーマです。

 

「預かり敷金」とは、家賃の未回収が発生したときに、これを補填する目的で、家主が賃借人から預かるもので、家賃の滞納がなければ、退去時には家主から賃借人に返還されるものです。

 

ですから、家主から見れば、「預かり敷金」は将来、賃借人に返還すべき「債務」ということになります。

 

さて、問題は家主がその自己が所有する建物を他に売った場合の処理です。

 

建物には「預かり敷金」がくっついています。建物を他に売った場合でも、賃借人は売却前となんら変わりませんから、新しい建物の所有者は賃借人に返還すべき債務、すなわち、「預かり敷金」を引き継ぎます。

 

預かり敷金のふたつの処理方法

 

この「預かり敷金」の引き継ぎについては次のふたつの処理方法があります。

 

1.建物の売買代金とは別に「預かり敷金」を現金決済する方法

2.建物の売買代金に「預かり敷金」を含めて決済する方法

 

具体例を使って、それぞれの方法を仕訳を使って説明してみましょう。ちなみに2の方法を「関西方式」といいます。

 

【例】建物売買価格1億円(簿価8千万円)預かり敷金100万円 

※便宜的に土地価格も建物価格に含めて表示します。

 

・1の方法
【売主】
(借方) 現   金 1億円 (貸方) 建   物 8千万円
売 却 益 2千万円
(借方) 預かり敷金 100万円 (貸方) 現   金 100万円
【買主】
(借方) 建   物 1億円 (貸方) 現   金 1億円
現   金 100万円 預かり敷金 100万円
・2の方法(関西方式)
【売主】
(借方) 現   金 1億円 (貸方) 建   物 8千万円
売 却 益 2千万円
(借方) 預かり敷金 100万円 (貸方) 売 却 益 100万円
【買主】
(借方) 建   物 1億100万円 (貸方) 現   金 1億円
預かり敷金 100万円

 

お金は預かっていないが将来の返還義務を引き継ぐ関西方式

 

1の方法では、売主は建物を売った代金1億円は受け取りますが、同時に預かり敷金100万円を新しい所有者に支払います。

 

これに対して、2の関西方式では、売主は建物を売った代金1億円を受け取るところまでは1と一緒ですが、預かり敷金は現金決済しません。しかしながら、買主は契約によって預かり敷金を引き継ぎ、将来は買主の責任においてこれを返済する義務を負います。

 

ということは、売主にとってみれば現金決済せずに、将来の返済義務を免れるわけですから、そこは、それだけ経済的利益を得たということで、収益として100万円を計上しなければならないことになります。

 

一方、買主の方は、現金は1億円を払っただけですが、将来の返済義務である「預かり敷金」を背負うことになりますから、建物の取得価額は合計の1億100万円ということになります。

 

なお、2の方法については、神戸地裁から次の様な判例が出ています(平成4年12月25日)

「売主は、本件売買契約中の右特約に基づき、買主に対し、売主の各賃借人に対する債務を売主に代わって返済することにより、これを消滅させるよう請求することができる権利を取得したもので、右権利の取得、すなわち、敷金・保証金の返還債務を免れる利益は、本件土地建物の譲渡に係る「収益の額」ないし「総収入金額」に含まれる経済的利益に該当する」

 

関西方式ではうっかりミスが起こりやすい?

 

ですから、関西方式で決済を行った場合は、「預かり敷金」については現金のやり取りがないわけですから、敷金の処理をつい忘れてしまうことが考えられます。

 

そうすると、売主側では売却益の計上もれという問題が発生します。

 

買主側では建物の取得価額が「預かり敷金」分だけ過小評価されますから、減価償却費がそれだけ減少します。さらに、将来、預かり敷金返済の必要が生じた時の処理にも問題が発生します。

 

「預かり敷金」の引継ぎを関西方式による場合は、以上の点を十分気をつけください。

 

預かり敷金の処理について詳しくお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

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