節税と不動産所得~事業的規模だと困ることとは?
2019年05月26日節税ブログ その34
節税と不動産所得~事業的規模だと困ることとは?
■事業的規模だと有利・・・とは限らない?
前回に引き続き不動産所得と事業的規模のお話です。
不動産所得が事業的規模だと
青色申告控除が
・事業的規模の場合 最大65万円
・事業的規模でない場合 最大10万円
さらに、奥さんに支払う青色専従者給与が
・事業的規模の場合 必要経費に算入できる
・事業的規模でない場合 必要経費に算入できない
という違いがあって、税務上は事業的規模の方が断然
有利
という話を前回しました。ただし、有利なのは、あくまで
所得税
の場合です。
■事業税における事業的規模
逆に、事業的規模であるがために納税義務が発生する税金もあります。
事業税
という税金がそれです。所得税が国税であるのに対し、こちらは地方税です。
税金の計算は
①.不動産所得(青色申告控除前の金額)-290万円=課税標準
②.①×5%=事業税
となります。ですから、青色申告控除前の所得金額が290万円に満たなければ、事業税はかかりません。
所得税の世界では、事業的規模は一般的に
5棟10室基準(形式基準)
で判断されますが、事業税の場合は
10棟10室
となっています。ただし、その基準以下であっても、不動産収入が1千万円以上だと事業的規模とみなされてしまいます。
※事業税における事業的規模の判断は他にも細かい規定があり、収入基準は地方によっても違いがある様です。
■実際の計算はどうなっているか?
たとえば、青色申告控除前の不動産所得(事業的規模)が500万円の場合、青色申告控除額65万円を引くと所得金額は435万円で所得税は約44万円になります。
※所得控除や他の所得は一切考慮しない場合
そのかわり、事業税の方も事業的規模ということになれば、(500万-290万円)×5%で10.5万円の税金がかかってきます。合計54.5万円です。
では、所得は同じ500万円でも、事業的規模ではない場合はどうなるかというと、それでも青色申告控除は10万円引けますから、所得税は55万円となります。一方、事業税は0です。
トータルの税金は、差額がほとんどなくなってしまいます。
投資用不動産をお持ちの社長は、所得税と事業税両方の事業的規模をしっかりと考慮する必要があるというわけですね。
不動産投資の事業的規模について詳しい説明をお聞きになりたいと思われたら
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