節税と不動産所得~事業的規模じゃないとどうなる?
2019年04月30日節税ブログ その32
●節税と不動産所得~事業的規模じゃないとどうなる?
■不動産所得と事業所得の違う点
会社の社長で、自分の会社に社屋を貸したり、賃貸アパート・マンションを所有されている方は多いと思います。
いわゆる、「不動産所得」といわれるものですね。
法人の所得は売上の種類が何であれ、全て会社の売上として計上し、そこから経費を差し引いて計算しますが、個人の所得税は所得を先ず、10種類に分類してそれぞれのルールにのっとって計算することになります。
不動産所得はそのうちのひとつですが、一般的な事業-建設業や小売業等々で、「事業所得」に分類されるもの-とは決定的に違う点がひとつあります。
それは
事業的規模か否か?
で税務上の取り扱いが大きく違ってくるということです。
■事業的規模か否かの判断基準
じゃあ、そもそもどこからが事業的規模で、どこまでだったら事業的規模じゃないのかという話ですが、一般的には
・戸建の貸家だったら5棟以上
・アパート・マンションだったら10室以上
だったら事業的規模と認めましょうということになっています。
本来は
社会通念上、事業と称するに至る程度の規模かどうか
で判断することになっていますが、それもなかなかむずかしいものがありますから、実務上は、上のいわゆる
5棟10室基準
で判断されることが多いというわけです。
さて、問題はその事業的規模か否かで、税務上の取扱いがどう違ってくるか?ですが、先ずは
■事業的規模でないとどうなるか?
青色申告をしている場合に認められる青色申告控除が
・事業的規模の場合 最大65万円
・事業的規模でない場合 最大10万円
という違いがあります。
さらに、同居親族(一般的には奥さん)に支払う青色専従者給与が
・事業的規模の場合 必要経費に算入できる
・事業的規模でない場合 必要経費に算入できない
という違いもあります。金額の多い少ないではなく、事業的規模でない場合は、そもそも奥さんに対する給与が、1円といえども経費として認められないということです。
上のふたつは、実際の申告でも誤りが多いそうです。気をつけたいですね。
他にも
家賃が回収できない場合で、これを貸倒れとして経費に計上する場合も
・事業的規模の場合 回収不能となった年分の必要経費に算入できる
・事業的規模でない場合 収入計上した年分にさかのぼって更正の請求が必要
という違いもあります。
また、小規模事業者に人気の小規模企業共済(経営者の退職金制度)も
・事業的規模の場合 加入できる
・事業的規模でない場合 加入できない
という違いもあります。
不動産投資は色々な目的で始められる方が多いですが、ちょっとした違いで税務上の優遇が受けられなかったり、取扱いが違ってくることがあります。
その点、十分に気をつけていただきたいと思います。
不動産投資を始めたいが、何に気をつけたらいいか説明して欲しい思われたら
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