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節税と奥さんへの給与~事業所得と専従者給与の逆転

2022年04月27日

節税ブログ その95

●節税と奥さんへの給与~事業所得と専従者給与の逆転

 

専従者給与が事業所得を上回ったとき

 

個人事業者については、青色専従者給与に関する届出書を事前に管轄の税務署に提出することによって、身内のたとえば、奥さんに対する給与を経費にすることができます。

 

その場合、問題はいくらまでなら経費として認められるか―ですが、もちろん、これには税法で具体的に限度額が決められているわけではありません。

 

決められているは、事業に従事した期間やその事業の規模、他の給与の支給の状況等に照らしてその労働の対価として相当額であるかどうか―といった、ある意味、抽象的な基準にすぎません。

 

ですから、金額の決定については、実務上、頭を悩ませることが多いわけですが、今日は、一度決めた奥さんの給与が事業主の所得より多くなってしまった場合にどう対処すべきか―といったことについてお話してみたいと思います。

 

質疑応答集の回答はどうなっているか

 

一般的には、事業主の所得は専従者の給与よりも多いのが通常であると思われます。

 

しかし、税法のどこにも、事業主の所得は専従者の給与よりも多くなければいけないとか、逆に、専従者給与は事業所得を上回ってはいけないとは書いてありません。

 

ただし、昔からあるいわゆる「質疑応答集」ではその点についての見解を見ることができます。

 

ちなみに、「質疑応答集」とは主に国税当局の職員によって書かれた専門書で、税理士などが実務上の判断に際してよく利用するものですが、本の最初には

 

文中意見にわたる部分は、個人的見解である

 

旨の断り書きが書いてあります。つまり、国税当局の職員によって書かれたものであっても、その内容は絶対的なものではないということです。

 

さて、事業主の所得と専従者の給与との関係について、ある「質疑応答集」には

 

①.事業主が老齢や病弱などのため、専従者が事業主に代わる重要な職務に従事する場合や

②.災害や貸倒れなど偶発的な事情によって所得の減少や赤字が発生した場合

 

には、専従者の給与が事業主の所得を上回ることはあり得ると書かれています。

 

もちろん、この場合は専従者の給与が、税務上、適正額であることを前提としていることはいうまでもありません。

 

では、次の場合はどうでしょうか。

 

事業本来の儲けが1千万円で専従者給与に500万円払ったら

 

事業本来の儲けが1千万円だったとします。ここから、奥さんに500万円の給与を支払うこととします。

 

給与の500万円は税務上、奥さんの経験、能力からみて適正と認められるものと仮定します。

 

さて、奥さんの給与が500万円ということは、事業所得は1千万円から専従者給与500万と青色申告控除額65万円を引いて435万円となりますから、専従者給与と事業所得とは完全に逆転してしまいます。

 

さて、この逆転現象は税務上、認められるでしょうか。

 

私は、上記の条件通りであれば、奥さんの給与は必要経費として当然、認められてしかるべき―と考えます。

 

事業所得と専従者給与の逆転は常に起こりえる?

 

税務は、先ず、専従者給与について、労務に従事した期間や労務の性質、提供の程度その他の状況に応じて適正か否かの判断をすると規定しています。そして、それが適正と判断されれば経費に認めましょうといっているわけです。

 

本来、給与はそれぞれの経験・能力から300万円が適正、500万円が適正ということで決められるものです。ですから、売上が極端に下がってくれば、「悪いけど、今年の給与は200万円で我慢してくれ」とか「400万円で我慢してくれ」ということはあっても、税務上、売上が下がってきたら、給与も下げなさいとはなっていません。

 

繰り返しになりますが、税務は専従者給与の適正額について判定基準は示していますが、売上や所得の状況が悪化したら、それに応じて専従者給与も下げなさいとはなっていないのです

 

また、事例集から最初に取り上げた①や②の事例にあるような事業主の高齢化や災害等臨時的な要因による逆転現象も、それはあくまでひとつの例示であって、逆転現象の容認がそれらの事象に限定されることにもならないと思います。

 

一般には、事業主の所得が専従者給与を上回るのが通常であるというのは確かにその通りだと思いますが、売上の変動は日常的に起こりえます。ということは逆転現象も常に起こりえる可能性があるということです。

 

最初から意図的に事業所得と不釣り合いに多額の専従者給与を支給することは専従者給与自体の適正性や経済的合理性からも問題視されるべきですが、そうでなければ、事業所得と専従者給与の比較をあまり画一的にとらえて、専従者給与の額を事業所得以下に引き下げることに汲々とすることは本末転倒であると私は考えます。

 

事業所得と専従者給与について詳しいお話をお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

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