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節税と減価償却~減価償却に「節税効果」はありか?

2021年06月17日

節税ブログ その78

●節税と減価償却~減価償却に「節税効果」はありか?

 

減価償却費の節税効果って、ホント?

 

不動産投資に関する広告などを見ていると

 

不動産投資の赤字で節税しよう

 

といった内容の文章を見かけることがよくあります。しかし、このうたい文句は果たして本当でしょうか?

 

ということで、今日のテーマはズバリ

 

減価償却に「節税効果」はありか?

 

です。

 

減価償却というのは建物などの固定資産の取得価額を少しずつ費用化していく計算手法です。費用化するということは、当然、利益はその分減少し、税金もその利益の減少分に応じて少なくなります。

 

赤字で節税効果を享受できるのは給与所得者だけ

 

しかし、最初に申し上げた

 

不動産投資の赤字で節税しよう

 

というのは、単に減価償却費という費用を計上して利益を圧縮するというのではなく、減価償却費の計上で不動産所得自体を赤字にして、その赤字と給与所得を組み合わせることで全体の所得を下げ、給与から徴収された所得税を取り戻す-というのがそもそものネライです。

 

ですから、ターゲットは当然ながら、高額な給与を取っているドクターや外資系企業のサラリーマンなどの給与所得者となります。

 

専業で不動産事業をやっている方や他の事業も同時にやっている方は除かれます。

 

ただ、不動産所得を赤字にするといっても、よけいな経費を実際に現金として支出していたのでは、意味がありませんから、そこで

 

減価償却を利用して赤字を作りましょう

 

というロジックが登場します。

 

減価償却費は現金支出を伴わない費用

 

といわれます。確かに、減価償却費を計上する時点では、その分建物の帳簿価額を減らすだけですからお金は出ていきません。

 

ですが、自己資金にせよ、借入金にせよ、建物や土地がタダで手に入るわけはありませんから、いずれかの時点でお金は出ていきます。ただ、費用化の時期と現金が実際に支出される時期がずれているだけの話なのです。

 

減価償却を利用した節税のからくり

 

さて、減価償却費の節税効果について、ネット上で次のような記事を見かけました

 

給与収入が6,000万円ある方が1億5,000万円の不動産投資をしたことで500万円の節税ができました

 

ただ、細かな計算過程は書いてありませんでした。そこで、どうしたらそういう結果になるかを自分なりに試算してみました。

 

先ず、給与収入が6,000万あった場合、給与所得は約5,800万円になり、所得税と住民税の負担は約2,700万円になります(注)

(注)社会保険料やその他の所得控除は考慮していません。

 

さて、ここから税負担を500万円減らすとすると、不動産所得で900万円の赤字を出す必要がでてきます。

 

給与所得5,800万円-不動産所得▲900万円=課税所得2,200万円

 

そこで、1億5,000万円の不動産投資でどれぐらいの収入を上げ、経費はどのくらいかかって、差し引きどのくらい赤字が可能か計算してみました。

 

先ず、収入は表面利回り7%で約1,000万円としました。

 

次に投資額1億5,000万円の40%を土地代とし、残りを建物本体と付属設備に7:3の割合に分けて償却費を計算してみたところ、減価償却費は314万になりました。

 

これに償却費以外の経費を収入の10%で約100万円計上し、また、初年度は不動産取得税や登録免許税等の初期費用が投資額の5%程度かかりますから、これを750万円とした結果、赤字は約120万円になりました。しかし、これではとても、900万円には遠く及びません。

 

節税効果は最初の年だけ

 

そこで、土地の割合を10%に下げて、建物と付属設備の割合を増やし、さらに、新築ではなく築7年の中古物件として償却費を計算したところ、減価償却費は約680万円と計算されました。

 

さらに、中古の場合は、初期費用に仲介手数料が加わりますから、一般に支出額は不動産価格の5%ではなく8%程度かかります。これで計算すると初期費用は約1,200万円となりました。

 

以上の金額で計算すると不動産所得の赤字が900万円を少し超えたために、これだと節税効果の500万円は実現することになります。

 

しかし、初期費用の1,200万円は当然ながら2年目以降は発生しません。そうすると減価償却費680万円を計上しても、その他の条件が同じであれば、2年目は約260万円の黒字となります。

 

つまり、節税効果は最初の年だけで、しかも、赤字の原因は減価償却費の計上というよりも、初期費用の支出と考えるべきなのです。

 

もちろん、築年数がもっと古い物件で、その他の条件が同じあれば、減価償却費はまだ増えますが、築年数の古い物件で取得価額や賃料が新築物件と同じということは通常、考えられません。

 

減価償却費は不動産所得を引き下げることはもちろんできます。しかし、それは固定資産税や管理費と同じ「必要経費」だからです。

 

お金が出ていかないという点も、経費を計上する際は―という条件付きです。最初にお話した様に、自己資金であれ、借入であれお金は必ず出ていきます。ただ、お金の支払時期と経費の計上時期が違っているだけにすぎません。

 

減価償却を利用して不動産所得の赤字を作り節税しましょう

 

こういったうたい文句を見かけたら、その節税はいつまで続くのか、減価償却が終わったらどうなるのか、償却費以外の経費はどうなっているのか等々を、しっかりと確認する必要があります。

 

減価償却費の節税効果について詳しくお聞きになりたいと思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

にお問い合わせください。

 

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