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節税と決算月~決算月の「決定」と「変更」で注意すべきこと

2024年08月19日

節税ブログ その122

●節税と決算月~決算月の「決定」と「変更」で注意すべきこと

 

 

■決算月の決定で注意すべきこと

会社を設立する際、決算月は自由に決めることができます。

 

私の事務所にも法人設立の相談にみえる方は大勢おられますが、たとえば、8月に相談にみえて、来月9月には会社をスタートさせたいという場合であれば、9月〇日を会社設立日、翌年8月を決算月ということでたいてい話は決まってしまいます。

 

しかし、そのような場合でも注意しておきたいのは、決算月は

 

・繁忙期はできるだけ避ける

・売上が集中する期間も避ける

 

というふたつの点です。

 

繁忙期を避けるのは、やはり決算となれば、税理士と社長との間で検討することも多く、最終判断までに一定の時間を要することが多くなるからです。

 

また、売上が集中する期間を避けるのは、繁忙期だからということもありますが、

たとえば、3月決算の会社で売上が年明けの1月から3月に集中する場合だと、1年で利益が一番上がる時に、決算を組んで税金を納めなければいけなくなるからです。

 

では、そういう場合はどうすればいいかというと、売上が増えだす1月より前の12月を決算月にするのです。

 

そうすると、1月から3月は事業年度の最初の方になりますから、残りの9ヶ月あまりで節税対策を行う余裕も生まれてきます。

 

設立日を動かせない場合はどうするか?

 

当然、会社のスタート時期が様々な事情から動かせない場合だってあります。

 

たとえば、先ほどと同じく売上が1月から3月に集中する場合で、しかし、会社は4月にスタートさせることが決まっているという場合はどうでしょうか。

 

普通であれば、事業年度は4月から翌年3月までということになることが多いので、これだと先ほど書いた様に決算対策がほとんど行えないままに申告書の提出ということになってしまいます。

 

これを避けるためには、事業年度は1月から12月までとします。ただし、設立第1期は4月〇日から12月31日までの8ヶ月あまりで決算をして申告書を提出するのです。

 

事業年度は普通1年ですから、最初だけイレギュラーな期間となってしまいますが、その後のことを考えれば、賢明なやり方だと言えるでしょう。

 

一度決めた決算月を変える場合

 

さて、次は一度決めた決算月を他の月に変更する場合です。

 

決算月を変えるなんて何だか大変そうに聞こえるかもしれませんが、実は、それほどむずかしい話ではないのです。

 

必要なのは

 

株主総会(臨時または定時)の決議

 

税務署、県税事務所、市区町村の3ヶ所への届出

 

のふたつだけです。

 

事業年度は定款の絶対的記載事項ではありませんから、法務局への届け出も不要です。

 

変更後の事業年度は、たとえば、3月決算の会社が決算月を9月に変えた場合は

 

4月から9月までの事業年度

10月から翌年9月までの事業年度

 

のそれぞれで決算・申告を行えばいいのです。

 

最初だけ6か月間のイレギュラーな事業年度が発生しますが、後は10月から翌年9月までの事業年度を繰り返すだけです。

 

では、何故、決算月の変更を行うかというと、たとえば

 

・3月決算の会社で、3月に大きな仕事が舞い込んでくることとなった

 

・同じく3月決算の会社だが、売上が急に落ちだして、高めに設定していた役員報酬をこれまで通り払えなくなってきた

 

という場合です。

 

先ずは前者から。

 

3月に大きな仕事が舞い込んでくることが、前もってわかっていたら、決算月を2月に変更します。

 

4月から2月までの11ヶ月でいったん決算をやって、新しい事業年度開始の3月に大きな売り上げを計上しても、それから1年かけていろいろなことがやれるというわけです。

 

役員報酬を変えたい場合

 

次に後者の場合です。

 

役員報酬を月150万円出していたところ、半年を経たところで売上が急に下がりだし、とても毎月150万円は払えきれない状況になってきたとします。

 

役員報酬は事業年度開始から3か月以内に決定して、原則、これを1年間継続する必要があります。そして、年の途中で、たとえば、それまで150万円出していた役員報酬を100万円に下げた場合は、その下げた100万円が本来の役員報酬ということになって、最初に出していた150万円との差額50万円×6ヶ月=300万円が費用として認められなくなってしまうのです。

 

こんなことになったら大変です。そこで決算月を変えるのです。そうすれば、新しい事業年度が生まれ、そこから3か月以内にド~ンと下げた役員報酬を、また、1年間継続すれば良いのです。

 

もちろん、役員報酬を変えずにとりあえず、未払計上するという方法も可能ですが、いずれその未払金は何らかの処理をしなければなりません。だから、決算月の変更もひとつの方法なのです。

 

なお、逆に年の途中で売上が急に伸びだし、役員報酬をもっと増やしたいという場合もこの方法は使えます。

 

それでもメリット、デメリットの比較検討は必要

 

もちろん、決算月の変更はメリットばかりではありません。

 

会社は前期との比較を行って、経営状況を色々と分析したりしますが、決算月を変えてしまうと、その比較がどうしてもやりにくくなってしまいます。

 

また、変更した後に一度はイレギュラーな事業年度に基づいて決算をおこなわなければなりませんから、これも少々メンドウです。

 

当然、メリットとデメリットの比較検討はしなければなりませんが、決算月の変更は、少なくとも手続き上は思っているほど大変ではないのです。

 

今日、お話したようなことで悩んでおられる経営者の方がおられたら、ぜひ、決算月の変更を検討して見られてはいかがでしょうか。

 

決算月の変更を一度検討してみようかな・・・と思われたら

「生涯」税金コンサルタント

さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足

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