節税と生命保険~その解約返戻金は本当か?
2019年01月14日節税ブログ その19
●節税と生命保険~その解約返戻金は本当か?
■生命保険の目的
会社を経営する上で生命保険はとても重要な意味を持ちます。
生命保険に入る主な目的は
・経営者に万が一のことが起こった場合の保障
・経営者が引退する場合に備えての退職金準備
というふたつです。
さて、生命保険を検討する際に、よく言われるのが
解約返戻金
です。
■ふたつの解約返戻率
解約返戻金というのは、その名の通り、生命保険契約を「解約」した時に、「返戻」(へんれい)されるお金のことです。
10年後に解約したら、それまでに払い込んだ保険料の80%が戻ってくるとか、90%が戻ってくるとかいわれるものですね。
さて、その返戻率には
・名目返戻率
・実質返戻率
のふたつがあります。
名目返戻率は、上に書いた様に、単純に払い込んだ保険料の80%が戻ってくるとか、90%が戻ってくるとかいわれるものですね。
1千万円保険料を払い込んで、解約した時に800万円戻ってきたら、名目返戻率は80%です。
■節税効果を加味した返戻率を見る必要 でも・・・
ただし、払った保険料が損金になって、それに見合う分、税金が少なくなれば、その分出ていくキャッシュは少なくなる、言いかえれば、その分キャッシュが手元に残るわけですから、解約して戻ってきたお金と合わせれば、実質的に返戻率は上がるよね-というのが実質返戻率です。
払い込んだ保険料が1千万円で、全額が費用に落ちる、いわゆる全損型の保険だと、法人税等の税率が33%(法人税+地方税)で節税額は330万、それに返戻率80%で800万円が戻ってくるから、合わせて戻ってくる金額は1,130万円、だから
返戻率は113%!
「ね、すごいでしょ」という様なことが保険会社のパンフレットには書いてありますが、本当に税率33%にもなるのか-ということは検証する必要があります。
中小企業の場合は、年800万円までの所得に対する法人税の税率は15%ですから、年間所得800万円までだとその他の税金を合わせた税率は25%、1,000万円で27%です。
■中小企業の返戻率は・・・
先ほどと同じ例で払い込んだ保険料が1千万円、税率25%で節税額が250万、返戻率80%で戻ってくるお金が800万円だと、合計1,050万円ですから
返戻率は105%
ということになります。
(注)ただし、生命保険でいわれる税率は詳しい説明は省きますが、いわゆる「実効税率」で、単純に法人税その他の税率を合わせたものとは異なります。
生命保険会社のパンフレットに書いてある実質返戻率〇〇%を見たら
わが社の税率は何%か?
ということをぜひ、思い出してくださいね。
わが社の実質返戻率は何%?・・・と思ったら
「生涯」税金コンサルタント
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