節税と副業~「副業で節税できる!」ってホント?
2025年01月31日節税ブログ その127
●節税と副業~「副業で節税できる!」ってホント?
■節税になるかどうかは内容次第
副業で節税できる!
っていうお話をどこかでお聞きになったことがある方は多いと思いますが、はたしてそれは本当でしょうか?
答えは・・・
内容次第では節税になることもある
というのが正解です。
では、なぜ、そんな答えになるのかを今からお話しします。
先ず、前提はあなたがサラリーマンであることです。
■サラリーマンで副業がある場合の税金計算
これは当たり前ですね。サラリーマンという「主な」仕事があって、それに対する「副業」ですからね。
で、サラリーマンの仕事で給料をもらうと、これは給与所得という所得になります。給与収入(要は額面)から、税務で決められた給与所得控除額(おおむね額面の2~3割)を引いたのが給与所得(給与の儲け)です。
そして、あなたが副業をやっているとしたら、その給与の儲けと副業で稼いだ儲けを合算して確定申告を行うことになります。
給与の儲け+副業で稼いだ儲け=儲けの合計額
この儲けの合計額に税率をかけて所得税を計算するわけです。だから、副業で稼いだ儲けが大きければ大きいほど、当然、給与の儲けだけだったときよりも税金は増えます。
じゃあ、今度はその副業の儲けが残念ながらマイナス、つまり、赤字だったらどうでしょうか。給与の儲けが500万円、副業の赤字が▲100万円だったら、儲けは
500万円+▲100万円=400万円
となります。つまり、黒字と赤字が相殺されて儲けがその分減ります。だから節税できるというわけです。
一応、念のためにお話しすると、9時から5時まである会社で働いて、その後、もうひとつの会社とかお店に「お勤め」するのは、ここでいう副業とは言いません。それは単に給料を2ヶ所からもらっているだけで、当然、節税にはなりません。
さて、話を戻して、「副業の儲け」という言い方は、まぁ、一般的な言い方で、税務上は正確には「事業所得」か「雑所得」のどちらかということになります。
■事業所得か雑所得か、運命の分かれ道
で、大事なのはその副業が事業所得とみなされた場合は
事業所得の赤字と給与所得は相殺(*1)ができます
*1これを税務上は「損益通算」といいます
でも、副業が雑所得とみなされたら
雑所得の赤字と給与所得は相殺ができません!
ここがポイントです
事業所得というのは、たとえば、ラーメン屋さんとか美容室とかが代表的ですが、こっちは分かりやすいですね。
対して、雑所得というのは、簡単いうと「事業」というほどのことはないけど、まぁ、ちょこちょこお金になるようなことをやってます―といったものが「雑所得」です。
■サラリーマンで同時にピアニストの場合
たとえば
ピアニストという商売は、それだけで食べているんなら普通、事業所得です。ところが、サラリーマンだけど、たまたまピアノもうまいというんで、時々たのまれて人前で演奏することがあって、年数回お金もらうことがありますという場合は、まぁ、こっちは雑所得ということになりますね。
だけど、そのピアニストが毎月4~5回、年間で50~60回、人前で演奏してお金もらってます―という場合だったらどうでしょか。
ン~?・・・事業?・・・雑?
ちょっと、迷いますよねぇ。じゃあ、税務はそれをどう考えるかというと
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する
(所得税基本通達35-2の(注))
としかなっていません。なんだか、わかったような、わからんような・・・。
■実質基準と形式基準
で、これはいわば「実質基準」ですね。
だけど、その後にもうひとつ「形式基準」といえるものもあって、こちらは
その所得に関する取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、その年間収入(所得じゃありません、収入です)が300万円以下だと、それは「雑所得」という扱いにするよ―といっているわけです。
逆にいうと、帳簿をつけてなくても年間収入が300万円を超えていて、かつ、事業と認められる「事実」がある場合は事業所得ですよ―といっているわけですね。
もっとも「事実」ってナンダ?-という問題は残りますが・・・。
それはともかく、じゃあ、帳簿をつけている場合はどうかというと、これは収入のことは何も言っていないわけです。当然、実質基準の
社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか
という判断はありますけどね。
で、その判断がそもそもむずかしいわけですが、副業の赤字と給与との相殺を考えるなら、少なくとも
帳簿だけはつける
ことだけは決して忘れないでください。
といっても、帳簿さえつけていれば、何でもかんでも経費になるというわけではありません。
その点はよくよく注意してくださいね。
(それにしても国税は何でこんなややこしいことを考えるのか―思ってしまいます)
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