節税と自己資本比率~節税のやり過ぎには要注意!
2024年12月23日節税ブログ その126
●節税と自己資本比率~節税のやり過ぎには要注意!
■会社の評価で思わぬ結果を招く節税のやり過ぎ
このブログではずっと節税のことを書いていますが、今日のお話は節税もやり過ぎると思わぬ結果を招くことがあるというお話です。
と言ってもそれは
税務署から目をつけられる
といったよくあるたぐいのお話ではありません。
今日のお話は
銀行から見た会社の評価で思わぬ結果を招くことがある
というお話です。
■自己資本比率とは?
みなさんは
自己資本比率
という言葉をお聞きになったことがおありでしょうか。
たとえば、会社の資産が1千万円あって、これに対して負債が600万円あれば、その差額400万円が自己資本ということになります。そして、総資産1千万円に対して自己資本は400万円ですから
自己資本比率40%
ということになるわけです。
■自己資本の中身
じゃあ、その自己資本の中身は何かというと、大きくふたつに分かれます。ひとつは資本金で、もうひとつは過去の利益の蓄積です。この場合の利益は税金を払った後の利益ですね。
過去の利益の蓄積が自己資本というのは少しわかりにくいかもしれませんが、資本金100万円と銀行借入金600万円を元手に商売を始めて、最初の年に利益300万円を稼ぐことができたとしたら、その3つの合計は1千万円ですね。
で、その1千万円は、現金預金や機械装置や棚卸商品、あるいは、事務所の敷金や売掛金といったものに姿を変えて存在していて、資本金+借入金+過去の利益の合計と必ず一致します。
ただし、借入金は将来、返さなくちゃいけませんが、残りの資本金と過去の利益は自分のものです、返す必要はありません。だから、自己資本なのです。
■節税と自己資本
で、この「自己資本」は大きければ大きいほど良いとされます。たとえば、負債がゼロなら、自己資本率は100%ですから何の問題もなしーということになるのですが、現実には大きな投資をしようとしたら、自己資金だけでは間に合わないことが多いですから、そんな時は「借入金」がどうしても必要になってきます。
とはいえ、銀行としては貸したお金は当然ながら返してもらわなければなりませんから、お金は貸すけど、「自己資本」がちゃんとしてないと「ちょっと貸せないなぁ」ということになってきます。
人から「少し金貸してくれないか」と言われたときに、その人が無一文だったら「本当に貸した金、戻してくれるのかなぁ」って不安になりますよね。それと同じです。
で、そこで問題となってくるのが「節税」です。節税の方法は簡単にいうと、売上を少なくするか経費を大きくするか、そのふたつしかありませんが、いずれにしろ結果的に利益は少なくなります。
がんばって節税すると利益が少なくなる。そうすると自己資本がうすくなる。結果、銀行は簡単にはお金を貸してくれなくなる―というわけです。
■債務超過になったら・・・
また、事業は時として赤字になることだってあります。
そうすると「自己資本」は資本金と過去の利益の合計ですから、その期の赤字が300万円あった場合でも、資本金が500万円あれば、自己資本は差引200万円でプラスを維持できます。
ところが、資本金が100万円しかなかったらどうでしょう。その時は差引▲200万円の赤字となってしまいます。この赤字の状態を「債務超過」といいます。だから。資本金は対銀行で考えた場合、あまり小さいと困るのです
「債務超過」の会社に銀行はお金を貸してくれません。
節税は大事ですが、やり過ぎで「自己資本」がうすくなったり、赤字になって必要な時にお金が借りられなくなっては元も子もありません。
その点は十分気をつけてください。
自己資本についてもっと詳しい話を聞いてみたいと思われたら
「生涯」税金コンサルタント
さかもと税理士事務所 税理士・坂本千足
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